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講演・論文
2006年8月8日

靖国にいやさかあれ(新聞投稿) 
                                
麻 生  太 郎


   靖国神社に遺骨や遺灰はない。あるのは近代の明暗を生きた日本人の集合記憶だけである。だがこれを失うと、日本は日本でなくなる。  
   靖国をめぐる論争が過熱し、英霊と遺族から魂の平安を奪って久しい。鎮魂の場という本旨へ復すべきだ。そのためには靖国を、政治から無限に遠ざけねばならない。  
   事は猶予を許さない。戦没者遺族の数は全国で15万人と往時の1割にも満たない。戦いに殉じた人々を悼むという本来国家が担うべき事業を一宗教法人に委ね た結果、靖国は支持基盤の衰弱とともに、その存続自体が危ぶまれる状態に陥った。  
   靖国は宗教法人であるから、外部の人々は変化を強要できず、靖国自らの決断抜きには何事も進まない。それを踏まえたうえで、以下靖国のいやさかと、 天皇陛下のご親拝の実現を願う立場から私見を述べたい。  
   靖国はまず、宗教施設でなくなる必要がある。政教分離原則に照らし一抹でも疑いが残る限り、仮に他に問題がなくとも、皇族方はもとより首相や閣僚の参拝が安定しない。無理に参ると、その行為自体が靖国を政治化し、再び本旨を損ねる悪循環を招く。  
   この際、宗教法人・靖国神社は、設立趣旨を共有する全国52の護国神社とともに任意解散手続きをとり、別形態に移ることを呼びかけたい。  
   移行過程は多様であり得るが、最終的に特別立法によって靖国を「国立追悼施設靖国社(招魂社)」とする。その際、靖国神社と同じく陸海軍省所管だった日本赤十字社が、講和条約調印後、特別立法で福祉を営む平時の姿に復帰した前例が参考になる。
   靖国の場合、祭式を宗教的ではなく伝統的なものとすることで、法人格の変化に実質を与える必要もあろう。元来靖国は、記紀伝承の神々を祀る本来の神社ではない。伊勢神宮以下約8万の神社を束ねる神社本庁にも属したことがない。非宗教法人化は、戦死者を祀る「東京招魂社」として生まれた創建時の趣旨に復することになる。  
   また設置法を論じる国会審議において、靖国非政治化という目的のため、慰霊対象者をいかにするかの点につき、合意を得るのが望ましい。ちなみにその時点で教義は既に唯一の判断基準ではなくなっている。  
   この過程で全国の護国神社を靖国の支部とし保全し、付設の遊就館は、行政府に管理運営を移管する。  
   無論、個々の変更に際し議論は百出するだろうが、そのたびに原点に立ち帰りたい。原点とは、とこしえの静寂の中、英霊と遺族に安息を図ることである。  
   財政基盤の確立には、国がその責任を持てばよい。今日靖国を支える崇敬奉賛会は、新法人靖国社の支持母体として存続する。また財団法人日本遺族会は、 その基盤を安定させるため、公益財団法人とすべきだろう。  
   ここまでを整えて初めて、晴れて天皇陛下を靖国へお招きできる。英霊は、安堵の息をつくことができる。諸外国指導者にもお越しいただき、246万余の御霊を前 に、近代の転変を偲んでもらいたい。

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